2022年11月8日
ハマグリ掘りの話
子供の頃は、どこの浜でもハマグリ(※)がよう出た。大人も子供も丸篭を下げて、ハマグリ掘りに励んだもんじゃった。 黒髪島に住んでいた頃は、太刀ノ浦から仙島手前のヒトの浜まで歩いて行った。ヒトは砂浜じゃから子供でも簡単に掘れる。出る端から丸篭に放たり込うで、貯まっていくのが面白...
2022年10月25日
島のもん
先日職場の客から、島の者という言葉を聞いて、はたと思った事。 ディスったかも知れんけど、それ位じゃあ島のもんにゃあ 応えりゃあせんよ。昔から島のもんを一段下に見て、町に住んで居るだけで偉そうにする人は飽きる位見てきたからね。島のもんはそこをヤレヤレと優しく見過ごしてきた。...
2022年10月11日
踊る阿呆に…
「踊りょう踊るならあ お寺のかど※1でー、」から始まるわが盆踊り。 初盆の人の遺影の前で、浴衣姿に団扇を持って、太鼓に合わせて手踊りをする。太鼓と口説きの調子が合うと、踊り易く「ヨイヨイヨイ、エーイエーイヨウイヤナ」の合いの手も熱をおび、踊り場は一気に盛り上がる。...
2022年9月27日
薄明るい夕暮れの空をねぐらへ帰るカラスの群れ
さっきまで夕陽に輝いていた海は暗くなり、漁船が一艘淡く白い航跡を残し港を出てゆく。足元で小さな波が、タプタプと唄う。 暑かった今日の終わり。島の家々に次々、明かりが灯る。その一つひとつが辛い一日の労働から解き放された安堵と誇りだ。父や母の帰りを待ちわびた子供達の辛抱の華だ。...
2022年9月13日
母から子へ ?
昔はよう、饅頭を炊いたよねと、このところ話す。島で言う饅頭は握り拳大のさんきらいの葉をしいて蒸した物で、食べるとほのかに炭酸の香りがして、年を取った今、それが母の顔や七日日の海を思い出させる。 昔、海の側に墓があった時代は、七日日には泳いで海から上がって、墓に手を合わせま...
2022年8月30日
Aちゃんの九死に一生物語
(Aちゃん、二十歳の頃を思い出しながら語る) うちはその頃は石船をせちょった。石船ちゅうのは、分かるかいね。石を運ぶ船で、両舷には棚もなんにもない船で、積荷の石の上に、大石ちゅう船のバランスを崩すための石が積んである。荷を崩す時は、その大石を片側へウェンチンで吊って船を傾け...